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新規は取れるのにリピートしない原因は?入口商品別の2回目購入率

新規顧客は取れているのにリピートしない原因は、最初に買われる入口商品にあることがあります。とある2社のAMCデータでは、新規が7割以上の商品同士でも2回目購入率に2.5〜2.9倍の差がありました。測り方と予算配分への使い方を解説します。

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新規顧客の獲得数が順調でも、最初に買われた商品によって2回目の購入率は大きく変わります。とある2社のAMCデータでは、新規が7割以上の商品同士でも2.5倍から2.9倍の差がありました。

Amazon運用のレポートには、新規顧客の数字が必ず出てきます。獲得件数、新規のCPA、新規売上の比率。

ところが、その新規顧客がその後どうなったかを商品別に見ている会社は多くありません。

「新規は取れているのに、売上が積み上がらない」。この相談の裏側では、たいてい同じことが起きています。新規顧客は入ってきているのに、入ってきた商品が悪く、二度と戻ってこない。

ここでは、AMC(Amazonの広告・購買データを匿名化された単位で分析できる環境)で入口商品別の2回目購入率を測る手順と、その結果を予算配分にどう使うかを、とある2社の実データで見ていきます。

入口商品とは?顧客が最初に買った商品のこと

入口商品は、ある人がそのブランドで最初に購入した商品です。 同じブランドでも、どの商品から入ったかで、その後の行動はまったく違います。

お試しサイズから入った人と、大容量の本命商品から入った人。2回目を買う確率も、買うまでの間隔も同じにはなりません。

測る指標は3つだけです。

指標 意味
入口人数 その商品を最初の購入として買った人の数
新規顧客比率 入口人数のうち、ブランドを初めて買った人の割合
2回目購入率 入口人数のうち、その後もう一度買った人の割合

この3つを商品別に並べると、新規を集める力とリピートにつなげる力が別々に見えるようになります。

AMCで入口商品別の2回目購入率を出す手順は?

購入データを人単位で並べ、最初の購入日の商品を入口として割り当て、その後の購入の有無を数えます。

  1. 購入のデータを人単位で取り出す
  2. 人ごとに最初の購入日を決める
  3. その日に買った商品を、その人の入口商品にする
  4. 最初の購入日より後に購入があった人を数え、入口商品別に集計する

今回の集計には、追加契約で使える拡張の購入データを使いました。広告に接触したかどうかに関係なく、すべての購入が入っているデータです。

ここは結果を左右します。広告に帰属した購入だけで集計すると、2回目の購入が広告経由でなかった人は「リピートしなかった」と数えられてしまうからです。

この差は小さくありません。手元の環境で突き合わせたところ、拡張データのほうが購入した人を約25%多く捉えていました。リピートは指名検索や直接のアクセスなど、広告を通らない経路で起きやすい。その分が帰属データから抜け落ちると考えられます。

拡張データの契約がなくても、広告に帰属した購入で近い数字は出せます。その場合の2回目購入率は低めに出る、という前提で読みます。

実データではどれくらい差が出たか

新規顧客が7割以上を占める入口商品同士でも、2回目購入率は2.5倍から2.9倍違いました。

事業領域の異なる2社(以下A社・B社)で実行しました。期間は12か月、入口人数が100人以上の商品に絞り、A社は70商品、B社は25商品が対象です。

全体の水準は、A社が2回目購入率29.4%(新規顧客比率71.7%)、B社が27.9%(同74.7%)。ブランド全体で見ると、どちらも新規が7割、そのうち3割弱がリピートという似た形です。

この平均は、商品別にはまったく成り立ちませんでした。

新規比率の高い入口商品の2回目購入率のばらつき

棒の下段に並んでいるのは、どれも新規顧客が7割以上を占める入口商品です。つまり新規獲得はできている商品ばかり。それでも2回目購入率は、A社で10.9%から31.9%、B社で14.1%から35.3%まで開いていました。

対象を100人以上の全商品に広げると、差はさらに大きくなります。A社では新規顧客7割以上の38商品の中で、2回目購入率が3.8%から37.6%まで分布していました。

新規のCPAだけで予算を配ると、この差は見えません。同じ単価で獲得した新規の1人でも、入口商品によって将来の価値が3倍近く違うということです。

既存顧客が混ざっているだけではないのか?

新規顧客比率をほぼ揃えた商品同士で比べ直しても、差は残りました。

この手の分析には、結論をひっくり返しかねない落とし穴があります。

新規顧客比率が低い入口商品には、既存顧客が多く含まれます。既存顧客は、もともと何度も買っている人たちです。だから「新規比率が低い商品ほどリピート率が高い」のは、当たり前の結果かもしれません。

実際、新規顧客比率と2回目購入率の順位相関は、A社でマイナス0.71、B社でマイナス0.74と強く出ます。ただ、この相関だけを根拠にするのは危険です。

そこで、新規顧客比率がほぼ同じ商品の組を選んで比べました。

新規顧客比率を揃えたペア比較

左右の組は、新規顧客比率がA社で80%と81%、B社で77%と80%の入口商品です。既存顧客の混ざり方が同じなのに、2回目購入率はA社で2.9倍、B社で1.5倍違いました。既存顧客の混入では説明できない差です。

新規顧客7割以上の商品だけに絞った中でも、負の相関は残りました(A社マイナス0.66、B社マイナス0.71)。入口商品によるリピートへのつなげ方の差は、実在すると見てよさそうです。

新規顧客比率と2回目購入率の分布

見てほしいのは、右下がりの傾向そのものより、同じ新規比率でも縦に大きくばらついている点です。このばらつきが、実務で手を入れられる余地になります。円の大きさは入口人数の規模で、規模の大きい商品が上側にいるとは限りません。

この数字をそのまま使えない理由は?

観察期間の切り方と商品の性質によって、数字は偏ります。断定できる部分とできない部分を分けておきます。

1つ目に、「初回購入」は観察期間の中での初回にすぎません。12か月の枠で集計しているので、それ以前から買っていた人の一部が初回購入者として数えられます。新規かどうかの判定である程度は補正できますが、完全ではありません。

2つ目に、観察できる期間が人によって違います。期間の終盤に初めて買った人は、2回目を買うまでの時間が短い。2回目購入率は全体に低めに出て、発売から日が浅い商品ほど不利になります。新商品の評価にこの数字をそのまま使うのは避けてください。

3つ目に、初回の日に複数の商品を買った人は、入口を1商品に寄せています。今回は機械的に1つを割り当てました。セットで買われることが多いブランドでは、この割り当て方の影響を別に確かめる必要があります。

4つ目は商品の性質です。消耗品か耐久財か、単価、内容量。リピート率の差のかなりの部分は、広告や運用ではなく商品そのもので決まります。リピート率が低い商品は悪い商品ではなく、役割が違う商品と読むべきです。

この4つ目が、打ち手を考えるときの出発点になります。

結果を広告予算の配分にどう使うか

新規のCPAに2回目購入率を掛けて見ること、リピートの弱い大きな入口は止めずに後段を作ること、効果の大きさを先に見積もることの3つです。

新規のCPAを2回目購入率と並べて見る

同じ新規CPAで獲得できる入口商品が2つあるなら、2回目購入率が高いほうに予算を寄せます。追加の費用がかからず、すぐ実行できる判断です。

新規獲得そのものを絞る話ではありません。ブランドの成長は、一度でも買ったことのある人の数に大きく左右されるので、新規獲得は続けます。同じ1人を獲得するなら、どの入口から入ってもらうかを選べる、という話です。

リピートの弱い大きな入口は止めずに後段を作る

今回いちばん大きな発見は、A社・B社ともに、入口人数の多い商品の中に2回目購入率の低いものが混じっていたことでした。

こうした商品は新規獲得の柱です。止めれば新規の流入そのものが細ります。手を入れるのは広告ではなく、その入口から入った人に向けた次の一手。定期おトク便への誘導、関連商品の提案、同梱物の設計など、入口商品ごとに用意を分けます。

効果の大きさを先に見積もる

「リピート率を上げよう」だけでは、どこから手を付けるか決まりません。先に試算しておくと、優先順位がはっきりします。

改善インパクトの試算

入口人数の多い上位10商品のうち、自社平均の2回目購入率を下回っている商品が、自社平均まで改善した場合の試算です。A社で2回目の購入者がプラス5.6%、B社でプラス13.0%。新規獲得数は1人も増やさない前提です。

これは上限ではなく、自社の他の商品ですでに実現できている水準を当てはめただけの計算です。商品の性質が違うので、実現できるかは商品ごとに確かめます。B社の伸びしろが大きく見えるのは、規模の大きい商品に低リピートの商品が集まっているためです。裏を返せば、手を入れる対象を少数に絞れるということでもあります。

まとめ

新規獲得の数字は、それだけでは良し悪しを判断できません。獲得した人が2回目を買うかどうかは、入口商品によって3倍近く変わるからです。

とある2社の実データで確認できたのは3点です。新規顧客が7割以上の入口商品同士でも2回目購入率に2.5倍から2.9倍の差があったこと。その差は既存顧客の混入では説明できなかったこと。規模の大きい入口商品を自社平均まで改善すれば、2回目の購入者を5.6%から13.0%増やせる余地があること(試算)。

一方で、観察期間の制約や商品の性質から、この数字だけで商品の良し悪しを決めることはできません。発売間もない商品は特に不利に出ます。

最初の一歩は、自社の入口商品別の2回目購入率を出し、新規のCPAと並べてみることです。

私たち、むかしむかしでは、AMCを使った入口商品別のリピート分析や、その結果を広告予算の配分に落とし込むご相談をお受けしています。お気軽にご相談ください。

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