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DSPとスポンサープロダクトの相乗効果は?重複接触のCVRで見る

DSPとスポンサープロダクト広告の両方に接触した人は、CVRがどう変わるのか。とある2社のAMCデータでは両方接触層のCVRが単独接触の30倍以上でした。分析の手順と、その数字を額面どおりに読めない理由を解説します。

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AMCを使うと、DSPとスポンサープロダクト広告の両方に接触した人のCVRを、片方だけの人と比べられます。とある2社では30倍以上の差が出ましたが、これは相乗効果の証明ではなく、手がかりの一つです。

DSP(ディスプレイや動画の面に出す運用型の広告)と、検索結果に出るスポンサープロダクト広告は、管理画面もレポートも別々です。

そのため社内では「両方に予算を出す意味はあるのか」「DSPを削ってスポンサープロダクトに寄せたほうが効率的では」という議論が繰り返されがちです。ROASを個別に並べるだけでは、この問いに答えは出ません。

AMC(Amazon広告の分析環境)なら、2つの広告に接触した人を匿名化されたID単位で突き合わせられます。ここでは、その重複接触の分析手順と読み方を整理します。

DSPとスポンサープロダクトの重複接触分析とは?

ある期間に広告へ接触した人を3つのグループに分け、グループごとにCVRと購入者単価を比べる分析です。 考え方はシンプルです。

グループ 定義 見たいこと
DSPのみ DSP広告にだけ接触した人 DSP単独での購入率
スポンサープロダクトのみ 検索広告にだけ接触した人 検索広告単独での購入率
両方 DSPとスポンサープロダクトの両方に接触した人 組み合わせたときの上乗せ

両方に接触したグループのCVRが、片方だけのグループより明らかに高ければ、組み合わせの効果がありそうだと解釈できます。購入者単価は、買った人1人あたりの平均購入金額です。

AMCの公式ドキュメントも、用途の一つとして、メディアミックス全体の効果を理解し、特定の広告の上乗せ効果を切り分けることを挙げています。重複接触の分析は、その考え方をそのまま形にしたものです。

AMCでの分析手順は?3ステップで組み立てる

手順は、接触者の抽出、グループ分け、購入との突き合わせの3つです。

  1. 過去30日から60日で、DSPに接触した人とスポンサープロダクトに接触した人をそれぞれ抜き出す
  2. 2つの集合を重ねて、DSPのみ、スポンサープロダクトのみ、両方の3グループに分ける
  3. 同じ期間の購入データと突き合わせ、グループ別にCVRと購入者単価を出す

使うデータは、DSPの表示ログ、スポンサープロダクトのクリックなどのログ、広告に帰属された購入データの3種類。追加契約の拡張データは要りません。標準のAMC契約で再現できる分析です。

とある2社の実データで見るとどうなったか

事業領域の異なる2社(以下A社・B社)で実行したところ、両方に接触したグループのCVRだけが桁違いに高く出ました。 期間は直近60日、リーチの規模と人数は秘匿のため指数にしています。

図1は、3グループ別のCVR(広告に帰属した購入者 ÷ 接触した人)の実測値です。

セグメント別CVR比較

A社はDSPのみが0.04%、スポンサープロダクトのみが0.01%なのに対し、両方は1.79%。B社も単独接触が0.01%から0.04%なのに対し、両方は1.24%でした。単純に比べて30倍以上の開きです。

事業の違う2社で同じ形が出た。1社だけの偶然ではない可能性が高まります。

「相乗効果あり」と言い切れないのはなぜ?

30倍という差は相乗効果を示唆するだけで、証明にはなりません。 むしろ、これほど極端な差が出ること自体が、額面どおりに受け取ってはいけない合図です。

まず集計の性質です。ここでのCVRの分子は、広告に帰属された購入者です。帰属の仕組み上、接触回数が多い人ほど購入が広告に結びつきやすく、両方に接触したグループのCVRは構造的に高く出ます。

いちばん疑うべきは、因果の向きが逆である可能性です。もともと買う気の強い人、ブランドをよく知っている人や購入直前まで検討が進んでいる人ほど、複数の広告に自然と触れます。複数接触したから買ったのではなく、買う気があったから複数接触した。この順序は常にありえます。

これを切り分けるには、広告に接触したグループと接触していないグループを比べて、広告そのものの上乗せだけを取り出す増分効果の分析が必要です。重複接触の分析は、相乗効果がありそうかを確かめる一次チェックとして使うのが安全です。

スポンサープロダクトのみのCVRが目立って高い場合は、自社ブランド名での検索に偏っている可能性があります。ブランド名の検索語と一般の検索語を分けて見直してください。

購入者単価もあわせて見るとどうか

CVRだけでなく購入者単価も比べると、組み合わせの効果が購入金額にも及んでいるかが分かります。

セグメント別購入者単価比較

社内の最大値を100とした指数で見ると、2社とも購入者単価がいちばん低かったのはスポンサープロダクトのみのグループでした(指数73から77)。両方に接触したグループは、DSPのみと同じ水準かそれ以上です。

CVRほどの大きな差ではありません。それでも、両方に接触した人は、買う確率だけでなく買う金額も小さくないことが分かります。

両方に接触した人はどれくらいいるのか

今回の2社では、両方に接触した人は全リーチの4%から7%にすぎませんでした。 CVRがいちばん高い層は、リーチのごく一部です。

リーチ構成比

この層を意図的に厚くする、つまりDSPとスポンサープロダクトの配信対象を重ねる余地が、次の打ち手の候補になります。

予算の組み方の対比も興味深い点でした。A社はリーチの75%がDSPのみ、B社は91%がスポンサープロダクトのみ。真逆の構成なのに、両方に接触した層のCVRが高いという形は共通していました。

注意点もあります。両方に接触した人が少なすぎると、CVRの差そのものが不安定になります。AMCにはプライバシー保護のため、少人数のグループを結果から除く仕組みがあり、人数が足りなければ結果が返ってこないこともあります。その場合は期間を延ばすか、集計の単位を粗くします。

分析結果を予算の判断にどう使うか

この分析は、DSPの予算を削るべきかという問いに、数字で向き合うための出発点です。 結果は3つのパターンに分かれます。

結果 読み取れること 次の動き
両方のCVR・購入者単価が明らかに高い 組み合わせを続ける根拠になる(逆の因果の可能性は残る) 増分効果の分析で裏を取る
3グループに差がない 同じ人を2つの広告で取り合っているだけの可能性 配信対象の重なりを見直す
両方に接触した人が少なすぎる 判断材料が足りない 判断を保留し、期間を延ばして再集計

どのパターンでも、この分析だけで意思決定を確定させないことです。次に見るなら、DSPが新規の顧客獲得に効いているのか、接触の順番(DSPが先か検索広告が先か)で差が出るのか、といった問いになります。

まとめ

DSPとスポンサープロダクトを別々に評価するのではなく、両方に接触した人という切り口を挟むと、組み合わせの価値をCVRと購入者単価で語れるようになります。とある2社の実測では、予算構成が真逆でも、両方に接触した層のCVRが30倍以上という形は共通していました。

ただし、帰属の仕組みと因果の向きの問題で、この差は大きく見えています。一次チェックとしての限界を併記したうえで、判断に使ってください。

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