ACoSの目安は何%?損益分岐ACoSの出し方と下げ方
ACoSの目安は一般に20〜30%前後と言われますが、正解は商品ごとの損益分岐ACoSで決まります。粗利率からの計算方法、目標ACoSの置き方、高いときの原因の切り分けと下げ方まで解説します。
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ACoSの目安は一般に20〜30%前後と言われます。ただ、本当の基準は商品ごとの損益分岐ACoS(広告費をかける前の利益率)です。そこから残したい利益を引いた値が、その商品の目標ACoSになります。
「ACoS25%は良いのか悪いのか」。この問いには、商品の利益率が分からないと答えられません。利益率40%の商品なら余裕がありますし、20%の商品なら売るほど赤字です。
ここでは、損益分岐ACoSの計算方法、目標の置き方、ACoSが高いときの切り分けと下げ方を順に見ていきます。
ACoSとは?広告経由の売上に対する広告費の割合
ACoSは、広告経由の売上に対して広告費が何%かかったかを示す指標です。 計算式はシンプルです。
ACoS(%)= 広告費 ÷ 広告経由の売上 × 100
広告費10万円で広告経由の売上が40万円なら、ACoSは25%。低いほど広告の効率が良い状態です。
ROASはACoSの逆数で、同じ例ならROASは4倍になります。どちらを使っても中身は同じ。社内でどちらの言葉に揃えるかを決めておけば足ります。
分母は広告経由の売上だけです。自然検索やリピートの売上は入りません。広告費を売上全体で見たいときはTACoSを使います。
ACoSの目安は何%?一般的なレンジの読み方
よく挙がるのは20%から30%前後というレンジですが、これは平均的な利益構造を前提にした話です。 自社の数字に当てはめる前に、前提が合っているかを確かめる必要があります。
利益率が高い商品、たとえば自社ブランドのサプリメントや化粧品なら、30%を超えても黒字のことがあります。逆に、単価が低く手数料の比率が大きい日用品では、20%でも赤字になることがあります。
現場でよく見るのは、ブランド全体で目標ACoSを1つだけ決めて、利益率の違う商品を同じ物差しで測っているケースです。これだと、利益が出ている広告を止め、赤字の広告を続ける判断が起きやすくなります。
目安はあくまで入り口。基準は商品ごとに作ります。
損益分岐ACoSの出し方は?粗利率から計算する
損益分岐ACoSは、広告費をかける前の利益率と同じ値です。 ACoSがこの値を超えると、広告経由の売上は1件ごとに赤字になります。
計算に使うのは、販売価格から原価とAmazonの手数料を引いた利益です。以下は計算例で、実際の手数料はカテゴリや商品サイズで変わります。
| 項目 | 金額(計算例) | 販売価格に対する割合 |
|---|---|---|
| 販売価格 | 3,000円 | 100% |
| 商品原価(仕入れ・製造・送料込み) | 900円 | 30% |
| 販売手数料 | 300円 | 10% |
| FBA配送代行手数料 | 450円 | 15% |
| 広告費をかける前の利益 | 1,350円 | 45% |
この商品の損益分岐ACoSは45%です。ACoSが45%なら、広告経由の売上は利益ゼロ。50%なら1件売るごとに150円の赤字になります。
計算で漏れやすいのは、在庫保管手数料や返品、ポイント・クーポンの負担です。毎月かかっているものは、1個あたりに割って原価側に入れておくと、実態に近い数字になります。
目標ACoSはどう決める?残したい利益から逆算する
目標ACoSは「損益分岐ACoS − 残したい利益率」で決めます。 先ほどの例で利益を15%残したいなら、45% − 15% = 30%が目標です。
ただし、どれだけ利益を残すかは商品のフェーズで変わります。
| 商品のフェーズ | 目標ACoSの置き方 | 考え方 |
|---|---|---|
| 立ち上げ期 | 損益分岐ACoSの近くまで許容 | レビューと自然検索の順位を積む投資期間。期限を決めておく |
| 成長期 | 損益分岐から一定の利益を引いた水準 | 売上を伸ばしつつ、赤字の広告を残さない |
| 安定期 | 利益を厚めに残す水準 | 指名検索やリピートが増え、広告の役割が下がる時期 |
| 攻めのセール期 | 一時的に損益分岐を超えることもある | 期間と上限額を先に決め、終わったら戻す |
立ち上げ期に損益分岐を超えて出す判断は、それ自体は間違いではありません。問題になるのは、いつまで続けるかが決まっていないことです。
ACoSが高いときはどこを見る?3つの要素に分解する
ACoSは「クリック単価 ÷(転換率 × 客単価)」に分解できます。 高くなった原因は、この3つのどれかにあります。
広告費はクリック数×クリック単価、広告経由の売上はクリック数×転換率×客単価です。割り算するとクリック数が消えて、この式が残ります。
たとえばクリック単価60円、転換率10%、客単価3,000円なら、ACoSは60 ÷(0.1 × 3,000)= 20%。クリック単価が90円に上がるとACoSは30%、転換率が5%に落ちると40%です。
| 症状 | 疑う原因 | 打ち手 |
|---|---|---|
| クリック単価が上がった | 競合の入札強化、ビッグワードへの集中 | 入札の見直し、成果の出るロングテールへ寄せる |
| 転換率が下がった | 商品ページ、価格、レビュー評価、在庫 | 画像と説明文の改善、価格とクーポンの点検 |
| 転換率が低い検索語が多い | 商品と関係の薄い検索語への配信 | 検索語レポートから除外キーワードを追加 |
| 客単価が下がった | 単品購入の増加、値下げ | セット商品やまとめ買いの導線を作る |
入札を下げるだけでは、ACoSは下がっても売上ごと縮むことがあります。まず検索語レポートを見て、売れていない検索語に費用が流れていないかを確かめる。手を付ける順番はここからです。
ACoSだけで判断してはいけないケース
ACoSは広告単体の効率を見る指標なので、事業全体の判断に使うと誤ることがあります。
自社ブランド名での検索広告は、ACoSが低く出やすい広告です。広告がなくても買ってくれた人が多く含まれるため、数字ほど売上を上乗せしていない可能性があります。ブランド名と一般の検索語は、分けて見てください。
逆に、新規の顧客を獲得する広告はACoSが高めに出ます。その後のリピートや自然検索の売上は、ACoSの分母に入らないからです。広告費を売上全体で割るTACoSと並べて見ると、広告が全体の売上を押し上げているかが分かります。
広告をクリックしてから時間をおいて買われた売上も、集計の期間によっては拾われません。検討期間の長い高単価の商品ほど、ACoSは実態より高く見えます。
まとめ
ACoSの目安は一般に20%から30%前後と言われますが、それは平均的な利益構造を前提にした数字です。基準にすべきは、商品ごとの損益分岐ACoS、つまり広告費をかける前の利益率です。
目標ACoSは、損益分岐ACoSから残したい利益率を引いて決めます。高いときは、クリック単価、転換率、客単価のどれが原因かを分けてから手を打ちます。
自社の商品ごとの損益分岐ACoSを、あなたは即答できるでしょうか。答えに詰まったら、そこが最初の見直しどころです。
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