ラストタッチとマルチタッチの違いは?Amazon広告の評価の分け方
Amazon広告の管理画面は、購入直前の広告に手柄を寄せるラストタッチが基本です。この数字だけで予算を配分すると、購入のきっかけを作った広告を削ってしまうことがあります。ファーストタッチ・マルチタッチとの違いと、AMCでの確かめ方を解説します。
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Amazon広告の管理画面は、購入直前の広告に手柄をすべて寄せるラストタッチで数字を出します。この数字だけで予算を配分すると、購入のきっかけを作った広告を「効いていない」と判断して削ってしまうことがあります。
指名検索の広告はROASが高い。認知目的の配信はROASが低い。だから認知の予算を減らして、指名検索に寄せる。
一見まっとうな判断です。ただ、その指名検索がどこから生まれたのかを考えると、話が変わってきます。
この記事では、ラストタッチ・ファーストタッチ・マルチタッチという3つの見方の違いと、AMCで自社のデータを使って確かめる方法を整理します。AMCは、広告の接触と購入の履歴を匿名化された単位で突き合わせて分析できる、Amazonの分析環境です。
ラストタッチとは
ラストタッチは、購入直前に触れた広告に、その購入の手柄をすべて寄せる考え方です。 広告レポートでどのキャンペーンが売上を作ったかを見るとき、多くの人が最初に目にする数字はこの見方で作られています。
分かりやすい反面、弱点があります。認知目的の広告を見た人が、数日後に商品名で検索して買ったとします。ラストタッチでは指名検索のキャンペーンだけが評価され、きっかけを作った認知の広告の貢献はゼロになります。
| 見方 | 手柄をどこに寄せるか | 答えてくれる問い |
|---|---|---|
| ラストタッチ | 購入直前の広告 | どの広告が購入を決めたか |
| ファーストタッチ | 最初に触れた広告 | どの広告が購入のきっかけを作ったか |
| マルチタッチ | 触れた広告の組み合わせ全体 | どの組み合わせが購入につながりやすいか |
ラストタッチだけで判断すると何を見誤るか
同じ購入者のデータでも、どの見方を取るかで「効いている広告」の順位が入れ替わることがあります。
下の図は、同じ購入行動をラストタッチとファーストタッチの両方で見たとき、キャンペーンごとの手柄の配分がどう変わりうるかを示したイメージ図です。実データではなく、よく起こるパターンを説明するための架空の数値です。

見てほしいのは、棒の高さの順位が左右で逆になっている点です。ラストタッチでは指名検索のスポンサープロダクトが決め手に見えます。ファーストタッチでは、認知目的のDSPが最大のきっかけになっています。
ラストタッチの数字だけで予算を組み替えると、この「きっかけ」の側を削ることになります。すぐには売上が落ちなくても、数週間後に指名検索そのものが減ってくる。現場でよく見る流れです。
マルチタッチで見ると何が分かるか
マルチタッチは、購入までに触れた広告の組み合わせ全体を評価する見方です。 1つの広告だけに触れて買った人と、複数の種類の広告を経て買った人を比べ、1人あたりの売上がどう違うかを見ます。
下の図は、その考え方を示したイメージ図です。

右に行くほど、つまり触れた広告の種類が増えるほど、棒が高くなる向きになっています。実際の数値は商品や配信の設計で変わるため、自社のデータで確かめる前提の参考図です。
複数の種類の広告を経た購入者は単価が高くなりやすい、というのは実務でよく言われる傾向です。もし自社のデータでも同じ傾向が出るなら、刈り取りの広告だけに予算を絞る判断は、組み合わせが生んでいる上乗せ分を見落としている可能性がある。そういう仮説が立ちます。
広告の種類ごとに「きっかけ」と「決め手」の役割は違う
DSPはきっかけ寄り、スポンサープロダクトは決め手寄りになりやすい傾向があります。

上の図も、傾向を示すためのイメージ図です。認知や興味づけが目的の配信は、購入から時間的に離れたタイミングで接触が起きやすい。購入直前に触れる指名検索やカテゴリ検索の広告は、決め手として記録されやすい。この違いが棒の傾きに出ています。
だから、DSPをラストタッチのROASだけで評価すると、きっかけとしての役割を低く見積もりがちです。反対に、スポンサープロダクトをファーストタッチだけで評価すると、購入を後押ししている役割を見落とします。どちらか一方が正しいわけではありません。
予算配分で使い分ける方法
予算を減らす判断をする前に、その広告が購入までの道のりの入口なのか出口なのかを確かめます。
ROASが低いから止める、の前にひと手間。ファーストタッチで見たときにその広告がどの位置にいるかを見れば、きっかけを作っている広告を誤って止める事態を避けられます。
指名検索は別枠で見るのが安全です。ラストタッチで高く評価されやすい一方、その検索需要そのものがほかの広告で作られている可能性があるからです。指名と非指名を分けて評価するだけで、誤解はかなり減ります。
3つの見方は、それぞれ別の問いに答える数字です。1つに絞らず、並べて見る。それで初めて全体に近づけます。
AMCで確かめるときの注意点
AMCでこの分析をするときは、結果が出ない区切りや、数えられていない購入があることを前提にします。
| 注意点 | 何が起きるか | どうするか |
|---|---|---|
| 人数の下限 | 一定の人数に満たない集計は結果から除かれる | 広告の種類単位など、粗めの区切りで集計する |
| 出力の並び順 | 結果の順番は保証されない | 取り出したあとで並べ替える |
| 数えている範囲 | 広告に紐づけられた購入だけが対象 | 広告に触れていない購入まで見たいときは、より広い購入を扱う機能を検討する |
AMCでは、最低100人に満たないグループは結果から除かれます。接触の組み合わせを細かく分けすぎると、珍しい組み合わせほど結果が消えます。最初は広告の種類単位で区切るくらいがちょうどいい。
また、ここで見ている3つの見方は、どれも広告に紐づけて計測できた購入だけが対象です。広告に触れずに買った人まで含めて評価したい場合は、広告に直接触れていない人の購入も扱えるFSIという機能を使うと、見える範囲が広がります。
いずれも、必ずこの結果になるという保証ではありません。分析を組むときに押さえておく前提です。
まとめ
ラストタッチは購入を決めた広告を教えてくれますが、それだけで予算を決めると、きっかけを作った広告を削ってしまうことがあります。ファーストタッチやマルチタッチを並べると、広告の種類ごとの役割の違いが見えてきます。
この記事の図はすべてイメージ図です。実際の傾向は、自社のAMCのデータで確かめてください。
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