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2回目購入はいつ来る?AMCでリピート間隔を測りリタゲ期間を決める

リピート率は測っていても、いつリピートするかを測っている会社は多くありません。とある会社のAMCデータでは中位リピート日数は50〜77日で、購入後30日のリタゲ期間では2回目購入の16〜32%しか捕捉できていませんでした。測り方と2つの落とし穴を解説します。

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リターゲティングの配信期間を決めるのは、リピート率ではなくリピートの時期です。とある会社のAMCデータでは、2回目購入の山は購入後46日から90日にあり、30日の配信期間では2回目購入者の16%から32%しか拾えていませんでした。

Amazon広告の月次レポートに、リピート率の欄を置く会社は増えました。新規顧客のうち何%が2回目を買ったか。大事な指標です。

ただ、その数字から次の打ち手を決めようとすると手が止まります。リピート率が20%だとして、リターゲティング広告はいつ配信すればいいのか。次回購入のクーポンはいつ送るのか。率だけでは何も決まりません。

必要なのは、いつリピートするかの分布です。これはAMC(Amazonの広告・購買データを匿名化された単位で分析できる環境)で測れます。

この記事では、リピート間隔の測り方と、とある会社の実測データ、測るときに踏みやすい2つの落とし穴を順に見ていきます。

なぜリピート率だけでは配信タイミングが決まらないのか

リピート率とリピートの時期は別の軸です。 率が同じでも、購入直後に集中するのか3か月後に来るのかで、打つ施策は正反対になります。

購入直後に集中するならクロスセルの追客。3か月後に来るなら「そろそろ無くなる頃」のリマインド。

それなのに、リターゲティングの配信期間はなんとなく30日で設定されていることが多い。

理由は想像がつきます。広告の効果測定は、接触から14日や28日以内の購入を広告の成果として数えるのが標準です。月次でレポートを見る習慣もある。ひと月前後という感覚が、そのまま配信の設計にまで入り込んでいます。

けれども、成果を数える期間は「広告の功績をどこまで数えるか」の約束事です。お客さまがいつ買い直すかとは関係がありません。30日が正しいかどうかは、測れば分かります。

AMCでリピート間隔を出す手順は?

購入を人・商品カテゴリ・日付の単位で並べ、最初の購入から次の購入までの日数を数えます。

  1. 購入のデータを、人・商品カテゴリ・日付の単位で取り出す
  2. 人ごとに、そのカテゴリでの最初の購入日を決める
  3. 最初の購入日より後の購入のうち、いちばん早いものまでの日数を出す
  4. 日数を区間に分け、カテゴリ別に人数を数える

今回は、追加契約で使える拡張の購入データを使いました。広告に接触したかどうかに関係なく、すべての購入が入っているデータです。

広告の成果として数えられた購入だけで集計すると、広告を経由しなかった2回目購入が丸ごと抜けます。

抜ける量は小さくありません。手元の環境で両者の購入者数を突き合わせたところ、拡張データのほうが広告経由のデータの1.8倍から2.0倍の人を捉えていました(2社で測定)。

一度買った商品を買い直すとき、人は広告ではなく、ブランド名での検索や購入履歴からたどることが多い。広告経由のデータだけで測ると、リピートの時期が広告の配信スケジュールに引きずられます。

日数の区間は、前半を15日刻み、後半を30日刻みにしました。この刻み幅の違いが、1つ目の落とし穴になります。

なお、ここでの2回目購入は同じカテゴリの買い直しです。別カテゴリへの広がりは別の分析なので混ぜません。

実データ:リピートの山は購入直後ではなかった

とある会社のデータでは、リピートする人の半数が2回目を買い終えるまでに約50日から77日かかっていました。

観測期間は約7か月。人数が十分にそろった商品カテゴリを対象にしています。

図1: 2回目購入の累積到達率

30日の縦線を横切る高さを見てください。いちばん大きいカテゴリAで31.6%。他の3カテゴリは16%から18%にとどまります。購入後30日の時点では、最終的にリピートする人の大半がまだ動いていません。

商品カテゴリ 2回目購入率 中位リピート日数(推定) 30日以内の捕捉率 90日以内の捕捉率
A 26.7% 約50日 31.6% 84.8%
B 19.7% 約74日 18.2% 61.6%
C 13.1% 約77日 16.3% 61.3%
E 12.3% 約77日 17.3% 60.5%

購入直後にリピートが集中する、という直感は、少なくともこの会社では成り立っていませんでした。

件数のピークはなぜずれるのか?区間の幅を揃えて読む

区間の幅が違うまま棒グラフにすると、ピークの位置がずれます。 1日あたりの人数に直してから読みます。

図2: 同じデータでもピークが変わる

左右は同じデータです。違うのは縦軸だけ。左は各区間に入った人数の構成比、右はそれを区間の日数で割った1日あたりの発生率です。

左では「61日から90日」が最も高く見えます。ただ、この区間は30日幅で、その前の「46日から60日」は15日幅しかありません。1日あたりに直すと、ピークは「46日から60日」に移ります。

構成比で読めば約2か月半後、1日あたりで読めば約2か月後。同じデータから2つの結論が出ます。

配信の開始日を決めるなら、見るのは1日あたりの発生率です。予算をどこに厚く置くかは、その日に何人が動くかで決まるからです。このずれは、集計の段階で区間の幅を揃えておけば起きません。

リタゲ期間30日でどれだけ取り逃しているか

30日で打ち切ると、2回目購入者の7割から8割は配信が終わった後に買っています。

図3: リタゲ期間を何日にすると、2回目購入をどれだけ拾えるか

配信期間を30日・60日・90日にしたとき、2回目購入者のうち何%が期間内に収まるかを示しています。

30日では16%から32%。60日で36%から63%。90日まで伸ばすと60%から85%に届きます。

ただし、90日に延ばせば売上が増える、という話ではありません。配信していなくても買った人は買っています。伸びしろは、配信していれば買ったのに実際には買わなかった人の分だけです。

それでも、リピートの山が来る前に配信を止めているなら、その施策はいちばん効く時期を外しています。30日で足りているかは、確かめる価値があります。

リピートが早い商品に見えるのはなぜ?観測打ち切りの罠

途中から売り始めた商品は、長い間隔のデータがそもそも存在しないので、リピートが早いように見えます。 2つ目の落とし穴で、結論が逆になる危険があります。

先ほどの表には、6カテゴリのうち4つしか載せていません。残る2つを加えるとこうなります。

図4: 「リピートが早い商品」に見えるが、実は観測できていないだけ

カテゴリDとFは、累積到達率が60日で100%に達しています。素直に読めば、中位27日程度のリピートが非常に早いカテゴリです。

これは、ほぼ確実に観測の打ち切りです。

61日より後のデータが1件もありません。本当にリピートが早いカテゴリでも、遅い人がゼロになることはまずない。カテゴリAでは121日以上のリピートが6%あります。

いちばん考えやすいのは、この商品が観測期間の途中から売られていたという説明です。初回購入から60日以上たった人がそもそもいないので、長い間隔は観測しようがありません。統計では右側打ち切りと呼ぶ現象です。

これに気づかず「Dはリピートが早いから購入後2週間で追客しよう」と決めると、施策の前提が崩れます。

見分ける手順は単純です。

手順 確かめること
1 累積の曲線が途中で100%に張り付いていないか
2 いちばん長い区間(今回なら121日以上)に人が入っているか
3 入っていなければ、初回購入日が観測期間の終盤に偏っていないか
4 打ち切りが疑われるカテゴリは、時期の結論から外す

打ち切りを最初から防ぐ測り方もあります。集計の対象を、初回購入日が観測期間の終わりから一定の日数以上前の人に絞るやり方です。

たとえば120日までの分布を見たいなら、期間の終わりの120日前までに初回購入した人だけを母集団にします。全員が同じ長さの観測期間を持つので、区間どうしの比較が公平になる。人数は減りますが、歪んだ分布より役に立ちます。

もう1つ。AMCは人数の少ないグループを出力しない仕様なので、「0」を「存在しない」と読まないようにします。

リピート率とリピート時期は別々に測る

率が高いからといって、早くリピートするとは限りません。2つは独立に測ります。

図5: 「どれだけリピートするか」と「いつリピートするか」は別の軸

打ち切りのない4カテゴリを、率と時期の2軸に置きました。いちばん率の高いAがいちばん早く(約50日)、率の低いC・Eが遅い(約77日)。

ただ4点しかないので、率が高いほど早いという法則としては扱えません。言えるのは、率の順位から時期を推測してはいけない、ということだけです。

実務では、この2軸でカテゴリを分けると施策が整理しやすくなります。率が高く早いカテゴリは、追客の費用対効果がいちばん高い。率が高く遅いカテゴリは、忘れられる前に思い出してもらう設計が要ります。率が低いカテゴリは、追客より商品側の見直しが先です。

この結果をそのまま使えない理由は?

1社の、約7か月分のデータです。水準ではなく、測り方と読み方を持ち帰ってください。

まず、1社のデータであること。カテゴリ間の比較は同じ環境なので意味がありますが、50日から77日という水準を他社に当てはめることはできません。商品の使い切りまでの期間で大きく変わります。

次に、観測期間が約7か月しかないこと。121日以上の区間はその先も続いていて、長期のリピートは少なめに出ています。

中位日数は、区間の集計から直線で補って出した推定値です。数日単位の精度はありません。

最後に、これは相関であって因果ではありません。46日から60日に山があることは、その時期に配信すれば売れることを保証しません。配信の時期を実際に変えて確かめるまでは仮説です。

リピートを取る配信はどう設計する?

30日固定をやめ、カテゴリごとに山の位置を測って、その手前から山にかけて予算を寄せます。

このデータで言えば、カテゴリAは46日から60日、B・C・Eは61日から90日に1日あたりの発生率の山があります。配信期間はその山をまたぐように置きます。全期間に均等に配るのではなく、山の前後に予算を寄せる。購入直後の1、2週間は、買ったばかりの商品をもう一度見せても響きにくい時期です。

リマインドやクーポンは、山の手前に置きます。需要が出てから届いても遅いので、このデータなら30日から45日あたりです。「そろそろ無くなる頃」に先回りするという昔からの販促の考え方を、データで裏づけているだけとも言えます。ただ裏づけがあると、社内で配信期間を変える合意が取りやすくなります。

そして、測る前に打ち切りの確認を必ず入れます。新商品や売り始めて間もないカテゴリは、必ずリピートが早いように見えます。いちばん長い区間に人が入っているかを見るだけなら数秒で済みます。

まとめ

リピート率は、どれだけ戻ってくるかは教えてくれますが、いつ戻ってくるかは教えてくれません。配信のタイミングを決めるのは後者です。

とある会社の実測では、中位リピート日数は50日から77日でした。購入後30日の配信期間では、2回目購入者の16%から32%しか拾えていません。慣習で置かれた30日は、少なくともこの会社では山の手前で切れていました。

測り方を誤ると結論は反転します。区間の幅を揃えずに読めばピークが1か月ずれ、観測の打ち切りを見落とせば、リピートが早い商品という逆の結論が出ます。

測ること自体は難しくありません。難しいのは、出てきた分布を疑うことです。

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